伊丹の日本酒の蔵元には江戸からもたくさんの商人が買い付けに訪れていたそうだ。新興開拓都市・江戸ではまだまだおいしい酒が造られなかったのだろう。
江戸は徳川家康が荒地・沼地を開拓し埋め立てて出来た新しい町だったから、良い水が湧き出す場所は多くない。良い日本酒には良い水が不可欠なのである。
伊丹の蔵元なら「風雅を知らない東男の連中・・・」と、もしかしたら思っていたかもしれないが、江戸との取引は確実に金になる。
江戸商人を招いて商談をする入り口に近い部屋は、少し豪華にしつらえてあり、天井は漆塗りで黒く光っている。
もうひとつうしろの部屋は、杜氏の上級職人が上がる部屋だがここは何も塗られていない普通の天井である。
なるほど、最初入ってぼおっとただ見ているだけでは分からなかった。解説をしてもらってはじめて理解できる事は多い。