カイロのイブン・トゥールンモスクの屋根に上ると、カイロの要塞があるモカッタムの丘が見え、そこには銀色のドームのモハメド・アリ・モスクがそびえている。
手前、9世紀建造のイブン・トゥールーンモスクは幾何学的な美しさが中庭を囲み、ドームといえば真ん中の水場だけ。
奥、19世紀のモハメド・アリ・モスクは西欧の教会的な装飾を用いたトルコ風の近代的な巨大ドームを持つ。
この風景に一千年の年月を感じる。
カイロの町はその歴史を反映して、タイプの違ったモスクが並存している。
トルコ風ドームのモスクは、もちろんイスタンブールへいけば至る所に見る事が出来る。カイロと違ってたくさん雨の降る土地ではやはり屋根は必須であろう。だからドームが発達した。
こういったドーム型モスクの最高峰は、スレイマン大帝時代の名建築家ミマル・シナンによるエディルネ(トルコ領の西端に位置する)にあるセリミエ・モスクとされている。
※夢枕獏さんの「シナン」是非読んでみてください。きっと私と同じように行きたくなります。
カイロに来たのならば、トルコでは見られないイスラムの原点を思い出させるイブン・トゥールン・モスクを是非見ていってほしい。
もともとモスクの原型は、四角く囲った塀に一部簡素な屋根をかけただけだったという。この基本的なスタイルをうけついだモスクはヨーロッパではあまり見られないのだから。