午前中、ルクソール東岸のカルナック神殿の見学。
12時半にクルーズ船は出航し、夕方にはエスナの町にさしかかった。
ここエスナには水門があり、クルーズ船はここを通るために嫌でも順番待ちをしなくてはならない。時には二十時間!ほとんど丸一日待たされる事だってあった。
停泊する船のまわりには、いつのまにか手漕ぎボートがうじゃうじゃ集まっている。乗っている男達が声を張り上げて我々の注意をひこうとする。
デッキの上から少しでも反応すると彼らは手に持っているビニールの包みを投げ上げてくる。中には爆弾ではなく民族衣装やじゅうたんなどの商品が入っているのだ。
「あぶないじゃない!」と言いたくなる勢いでデッキの床に商品がころがり、我々は顔をみあわせる。まるで押し売りみたいだけれど、彼らも生活がかかっているのだ。
いらなければ投げて返せばよいのだけれど、ボートの上にちゃんと投げ返せるとばかりは限らない。時にはナイル川にぼちゃんと落ちてしまったりもする。
「あとで洗って干せばいいんですよ」とガイドさんが笑っている。