朝8時にウィーンを出発し一時間ほどでハンガリーとの国境へ至る。
この国境は1989年のいわゆる「社会主義ドミノ」の発火点となったところ。1991年でも、通過した時にはひとりひとり入国係官に相対して、実に長く待たされた。
その同じ場所がいまや何のチェックもなく通過できるという世界の変化。
ハンガリーの通貨はまだフォリントなので両替をする。
今日は1ユーロ=255フォリントと出ている。
つまり、円から二度両替を換算すると100円=約200フォリントとなる。
ところがこの両替所に張ってあるレート表を見ると、円からフォリントへ両替すると、100円出しても135フォリントしかこないと書かれている。こういうのはよく注意しないといけませんね。「だまされた」とは言えません。
国境を過ぎ、左手にドナウ川を見ながら田舎の国道を走る。
古びた家並みの村を抜けると、廃墟になった工場がいくつも目に付く。
川の向こうはスロバキア。ハンガリー民族のスロバキア人もたくさん住んでいる一帯だ。
11時過ぎ、エステルゴム到着。
ここはハンガリー・カトリックの最高位となる大聖堂がある。
しかし、日本人にはSUZUKI自動車の工場がある場所として認識してほしい。
ハンガリーがEUに入る遥か以前にここを工場進出地に選んだSUZUKIの慧眼よ。そして、この地域に目に見える形で貢献しているという意義。
ドナウ河畔、落ち葉を踏みながらしばらく歩く。
こういう時間が少しでもほしい。
昼食のレストランにはたくさんの日本人グループがきている。マネージャーのアッティラさんはカタコト日本語を話した。
12時半過ぎ、エステルゴム大聖堂を見学。
ブダペストに向かい出発。
途中、かつての王宮跡ヴィシェフラードを少し見学。
かわいらしいツェンテンドレの村も一時間ほど散策。
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ツェンテンドレはたくさん観光客がやってくる場所だから、ハンガリー名産の磁器・ヘレンドの店もある。
ヘレンドといえば「緑」が美しい。確かにきれい。でも、なにもそれがそんなに好きなわけではない。いや、マイセンもアウガルテンも、個人的に「名品だから」と好きになったりはしない。
それでも、こういう手仕事作品を見るのは好きである。
なぜだろう?
と、考えていてこのウサギをみつけた。
プリントではなく、職人がちょこっと植えつけたこのウサギの表情が良い。
足元の花の色が生きている。