ウィーン半日観光、この3時間半にベルベデーレ宮殿のオーストリア・ギャラリーと美術史美術館をいれるのは、少々忙しい。
まぁ、昼食が美術史美術館の中なので、昼食後の時間をうまくつかう事が出来るか。
午後は自由行動。
穏やかに晴れて気温も十五度を超えて、あまりに暖かい。
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表題、飛行機ではありません。
彫刻家です。
ベルベデーレ宮殿を訪れる観光客の多くは、クリムトやシーレを目当てにしている。
そこで、小松が今回「ぎょぎょっ」と目を惹かれたのが、この奇妙な彫刻作品。
表情の選び方がユニーク。固い、かつ色目の複雑な石をわざわざ選んで、これだけの技術を駆使して彫りぬく執念が伝わってくる。
現代彫刻家?
と思ってよく見ると、なんと十八世紀、マリア・テレジアの時代の彫刻家フランツ・サビエル・メッサーシュミットという人の作品であった。
★1736年、現在の南ドイツ・バイエルンの生まれ。
叔父に指導を受けて後、ヴィーンのアカデミーに入り、才能を認められる。ローマに留学し、古代の作品を学ぶ。※ローマにおけるバロックの大巨匠ベルニーニの死後半世紀である。
女帝マリア・テレジアやその夫フランツ一世をモデルにして仕事をするほどに、第一線・第一級の彫刻家としての地位を築いた。
晩年(彼は47歳までしか生きなかったが)、持っていたものを売り払ってブラティスラバに移り住み、最後の数年は奇人・狂人扱いをうけて制作をつづけていた。
※下記ページに素晴らしい紹介ビデオを発見。ドイツ語でなく英語の解説です。
http://vimeo.com/14909282***
注文主の満足する作品を作り出すのが18世紀当時の「職人」の使命。
あの時代にこんな彫刻をつくっても売れなかっただろう。
きっと自分自身が造りたかったから造った作品である。
ちょっと調べてみると、こんな「キャラクター・ヘッド」と呼ばれる作品群が四十以上もあるのだそうだ。多くは彼の死後プレスブルグ(現ブラティスラバ)のアトリアから発見された。
前出のビデオの中にでてくる1839年(死後半世紀以上)に描かれた「キャラクター・ヘッド」のデッサンを見ると、現在残っているものはほんの一部であったことが分かる。
多くは壊されてしまったのかもしれない。
あるいはどこぞの田舎の納屋に未だ眠っているものがあるかもしれない。