朝9時10分の飛行機でバルセロナからグラナダへ到着。
まだ朝の空気を感じる中アルハンブラ宮殿と離宮ヘネラリーフェを見学。昼食にイカ墨ご飯。
グラナダのある盆地からいくつも起伏を超えて、行く手に午後の地中海が見えてきた。
17時ミハスへ到着。
日が傾き始めるまえの1時間少し、ここで散策となる。
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ミハスには日本人のKさんがやっている店がある。
「ミハス近郊の野の花を樹脂でかためてペンダントにしました、どうぞごらんになってください」と、控えめな声で話しかけてくれたのを覚えている。
まだ今ほど日本人観光客も多くない時代、通貨もペセタで物価もそして地価も安い時代だった。
小さな店を持つ前、彼は露天で細工物をつくって売っていた。
「あの時代が二十年もあったんですよ、だからもうすぐ六十才になります。あの時いろんな銀行をまわったんですが、一軒だけお金を貸してくれたところがあったのはほんとに幸運でした・・・」
ミハスに滞在する時々に少しは言葉を交わすけれど、ながくゆっくり話が出来たことはいままで一度もない。それでも、私はなぜか彼に親近感を感じている。
彼が私と同じような時代の時間を生きていて、その中で少しずつ自分がやろうとしてきた事を実現できてきたのを見てきたからかもしれない。
人と人との距離感というのは、いつも近くに居るとか長い時間をすごすという事では、必ずしも決まらない。