朝、ヴェネチアを出てヴェローナを経由してクレモナへ至る。
ヴェネチアからのヴェローナへ至る道は混雑していた。
ベテラン運転手のマウリツィオさんは一般道へ降りてボレンタ川沿いを走ってくれるという。 こういう気の利かせ方はナビ任せで走るドライバーには出来ない。
ボレンタ川はパドヴァとヴェネチアを結ぶ小さな川だが、ヴェネチア貴族がこぞって大邸宅を建設し、住んだ。 確かにヴェネチア本島の中心部にずっと住むのは快適とはいえない。資産を持った貴族が家族とゆったり住むにはこちらを選ぶだろう。
「ボレンタ川のリビエラ」を走ってみると、ヴェネチア貴族の生活スタイルが少し理解できる。
予定より一時間程度遅れてヴェローナへ到着。
聖エルモ教会の横で下車して古代ローマ街道の遺構をみながら古代ローマのフォロであったエルベ広場へ向かって歩く。「ジュリエッタの家」もチラッと覗く。市庁舎の古い塔にも登ってみる。ここは途中までだがエレベーターが設置されていた。
カテドラルや川向こうの斜面につくられた古代劇場までみわたせる。
あまり時間がないし、夕食にそなえて昼は切り売りピッツァ。
かじりながら古代ローマの円形闘技場=アレーナを目指す。二十年以上前にはじめて見た時には、ローマにだけあるものと思っていた円形闘技場が突然目の前に現れてびっくりしたものだ。
今日はじめてみる人への衝撃もよく分かる。
城壁を出たところでバスに乗車し、今日の宿泊地クレモナへ。
クレモナで最初に訪れたのは市の中心部からは少し離れたサン・シジスモンド教会。
以前訪れた時と同じく、16世紀の鮮やかなフレスコ画でうめつくされた堂内に圧倒された。 ただ、前に入る事のできた修道院の回廊は立ち入る事ができなくなっていた。どこもだんだんと制約がきびしくなってゆく。
クレモナ旧市街の中心部、インペロホテルにチェックイン。
路地を抜けてると不意に巨大な聖堂と鐘楼が西陽をあびて聳え立っている。
鐘楼=トラッツォはレンガ造りとしては世界一高い111メートル。 圧倒的な迫力。
ロマネスク様式の大聖堂は細部に洗練された中世彫刻がちりばめられている。ルネサンスの写実さとは違う素朴だが力強くユーモアを混ぜた表現が好きだ。
夕方、まだ陽のあるうちに市内をもう少し散策。
路地にはレンガ造りの美しい教会がまだまだいくつも隠されていた。特に面白かったのはクレモナの守護聖人オモボノにささげられた教会ファサードにあった石像。 フランス・シャルトル大聖堂王の門にある聖人像や日本の中世彫刻を連想させる。
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今晩夕食のレストランを選びに、ガイドさんと下見に歩く。
本命のレストラン、ダイニングルームの真ん中にガラス容器に入れられたフルーツのシロップ漬けが目に入った。 「これがクレモナ名物のモスタルダ(写真下)、私は大好きなのよ、ちょっと味見させてもらいましょう」と、同行してくれたガイドさん。
小松もひと口含んでみたが・・・うぉあ!甘さとともにわさびの強烈な辛さが舌を刺した。そう、まさに「わさび」だった。いくら名物でもぉ、この予期しない風味は日本人にはきついだろう。
本番で少しだけ出してもらったが、案の定皆さんひと口かじってわさび風味に面食らって手を口にあてた。