朝、四階の部屋から大雪山の雪の頂が見えた。
8時に「北天の丘」出発。
9時には藻琴山の「ハイランド小清水725」展望台についていた。
やはり朝の眺望はすばらしい。
秋の高い空の下、複雑な形をした屈斜路湖がひろがる。遠くオホーツク海の上に知床連山まで見える。
おととい女満別空港へ到着した時最初に迎えてくれた斜里岳も、今日はもっと間近に迫って見えている。
9時45分、屈斜路湖畔川湯到着。
浅瀬の砂を素足でぐずぐず掘ると熱い湯が湧き出してくるのが分かる。無料の足湯コーナーもちゃんとつくられている。
あ、そういえば「クッシー」の像もあった。
10時半、少しだけ美幌峠にてストップ。
11時半、清野さんご夫妻の運営するセイランド・ファーム到着。
今日のメインイベント⇒チーズ作り体験(アリゴはチーズをつかったフランスオーヴェルニュ地方の料理です)をお願いしているのである。
※セイランドファームHPは下記
http://www.milkland-hokkaido.com/koubou/32-kazenooka/index.html最初はバター作り。
小さめのペットボトルに牛乳とクリームなどを入れたものを強く振り続ける。
ひたすらシェイク!シェイク!
十五分ほどがんばると液体の音の中から、コロコロと固体が動く音が聞こえ始める。はじめて自分が攪拌したバターの完成。
振り方によってひとつひとつ固さが違うのがおもしろい。
次はカードをこねてつくるストリングスチーズ。
※カードとはフレッシュタイプのチーズの一種
80℃のお湯の中でゴム手袋をしながらよくこねる。
なかなか力が要る作業で、食品をつくるのは多くの場合力仕事なのだと理解する。
棒状にのばしては何度か畳む事で繊維をつくりだす。
出来たものを十分程度20%の濃い食塩水に漬けて出来上がり。
指で裂くことが出来る、ほどよい柔らかさでおいしい。
最後にいよいよアリゴ。
熱したフライパンにバターをたっぷり溶かし、にんにくとチーズを炒め溶かし、ふかしたじゃがいもを加えて練りに練る。
固すぎないように牛乳を加えていくと、弾力が増してこの写真のようにみょ〜んと伸ばせるようになってくる。
材料の加減、なによりもよくよく練って混ぜ合わせないとうまく伸びてくれない。
http://www.nta.co.jp/ryoko/tourcon/2004/040826/↑
ここまでいかなくても充分です。
それほど伸びなくても食材のすばらしさでおいしく食べられまする。
***
16時前、チミケップホテル到着。
全部で九室しかない小ぢんまりした建物だが、これが実にセンスのよい構造で、快適でおしつけがましくないインテリアとエクステリアで構成されている。
暖炉をゆるやかに囲む弓形のコーナー。
湖へリードしてくれる木製のテラス。
この小さな湖に面した木のテラスでお茶をいただいていると、いつまでもその時間の流れを大事にしたくなってくる。
もっと早く到着すれば、今日のようなお天気の日にはカヌーも楽しめただろう。いや、そういう「何かをする」事はその実あまり必要ないのかもしれない。
六月にここをはじめて訪れて、どうしても今回の旅に組み込みたいと思った。 問題は九室しかない部屋数。《手造の旅》に参加してもらえる人の数は自ずと限定される事になる。
採算上きびしい事になることは分かっていた。
しかし、そのために滞在を別の場所に換えたくはなかった。
そういう場所である。
夕暮れがせまるまでデッキにいる。
今日は夕焼けが湖面に反射して空と対象に赤く染まった。
夕食は本格的な洋食コース料理。
※別に写真入れて載せます。
さらに、釧路のアイリッシュ音楽のグループが我々のためだけに演奏にきてくださって、旅の最後の夜を楽しくもりあげてくれた。
「らぶらぶバンド」というちょっと恥ずかしい様なバンド名は夫婦二組で構成されている事から来る。本来はこれにパーカッションの方が加わる五人編成なのだそうだが、今日は四人で演奏。フィドル、ハンマーダルシマー、ギター、バンドネオンの原型となった小型のアコーデオン状の楽器。
哀愁を帯びたメロディーだが、とてもリズミカルで踊りたくなる雰囲気。小難しい展開やテクニカルなアドリブとは違う素朴だが力強いフォーク。良いですね。