ユゼス⇒ポン・デュ・ガール⇒オランジュ⇒ヴェゾン・ラ・ロメーヌ泊
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午前中、ユゼスの町歩きと公爵宮殿の内部見学、十二世紀の塔にももちろん登る。
ユゼス公爵家は今でも続いているのだそうだ。フランスでは公式な貴族は存在しないのだけれど、実際には彼らの血統はそう簡単に消滅などしない。
彼らの血統に登場した人物それぞれは、それほど有名ではないけれど時代を良く感じさせてくれる。
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ユゼスのマーケットで売っていたパテとパンを買って町を出る。
ポン・デュ・ガールを見上げる川原でサンドイッチの昼食。天気が良い日はこういう選択も楽しい。
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オランジュの町へ入って、車から陽をうけて輝く37メートルの石の壁が見えてきたとき、説明抜きで畏敬を覚えた。「わが国で最も偉大な壁である」と賞賛したルイ14世の言葉に心から同意したくなった。
オランジュのローマ劇場は、ヨーロッパで唯一「後ろ壁」が残っている例として知られている。ローマ帝国全土に百以上建設されたという巨大な劇場だが、後の時代に石材が持ち出され、たぶん一番持ち出しやすかった壁石はほとんどは残されていない。
ヨーロッパ以外ではトルコのアスペンドスとシリアにあるというが、写真を見る限りこのオランジュの保存状態には到底かなわないようである。
壁の中央部には発掘中に発見されたという身長3メートル55センチのアウグストゥスの像が見下ろしている。