スカンジナビア航空は午前成田空港到着。
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「バターをつけて食べるとうまいんだ」
とヒャルティさんはたっぷりつけて渡してくれた。
魚はタラかオヒョウか、そんな類である。
「ええ?こんなのおいしいの?」と思ったけれど、口に入れてみると…これが結構いける。噛みしめていくとだんだんと味わいが増してくる。
「三種類あるから、買ってあげる」
先日あげたイカの「あたりめ」をずいぶん気に入ってくれて、そのお返しという事だ。
そう、彼は本気でするめをおいしいと感じたのである。
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今回アイスランド人が他のヨーロッパ人と明らかに食の好みが違う事を確認できた。
日本人と同じ食の好みが確かに彼らにはある。
それは干し魚への愛着である。
ヨーロッパ人に日本の伝統的スナックを食べさせて、ほんとうに「おいしい」と感じさせることは、非常に希だと思う。
そう、よく日本人はおせんべいをあげて「おいしいでしょ?」と訊ねるけれど、そこで「まずい」などと答える人は、外国人であっても無作法と思ってよい。上手に「好みに合わない」と伝えるのは結構難しい。
我々だって「おいしいか?」と聞かれて、めんどくさいから作り笑顔で「おいしい」と答えていることが多いのではないか?
魚の匂いがぷんぷんする燻製、
アイスランドでは何百年もこれを保存食として大切にしてきた。
干した魚をどうすれば美味しく食べられるかを、日本人と同じように何百年にもわたって研究してきた民族だと言えるのではないか。
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写真下はハリバット、オヒョウ、タラ、の燻製。
どれも日本のするめよりは薄味で、噛み心地もするめより余程噛み切りやすい。