午後8時発の全日空便で帰国する日。
ホテル出発が16:30なので実質今日一日お得なフライトだ。
希望者と共にぼつぼつパリのちょっとイイ所を散策しようと考えていたが、結局けっこうな人数になってしまった(笑)。
今回ジベルニーの庭を見たからにはオランジェリー美術館の睡蓮は必見、ということで朝10時前に到着。行列を覚悟していたが、全然誰も並んでいなかった。
バスにて左岸の中世美術館へ。お気に入りの「一角獣のタピスリー」をご紹介。ここをご紹介するのがここ数年のお気に入り。
※Searchで「一角獣」と入れてみてください。
徒歩でサン・ミッシェルまで降り、シテ島へ。
サント・シャペルのステンドグラス見学。コンセルジュリへも入ろうと思ったら「本日展示換えの為閉館」でした。
再びバスにてパレ・ロワイヤルで下車し、きのうに続き今日もルーブル美術館へ。
しかし、今日は「一角獣」と共に「芸術新潮」誌の2006年3月号に載せられていた「魚のパテナ」と「象牙の聖母子」があるセクションを目指す。きのうのコースとはまったく交差しない。
***
この「象牙の聖母子」のどの部分に魅力を感じるか。
彫像のいちばんのポイントは顔と手だと言われる。
この像の顔も聖母子共にかなり個性的できりっとした表情を見せて魅力的であるが、私にはこの手・特に子供の手、に描写の鋭さを感じる。
正面からは見えないキリストの幼いこの手の表情。
手の指の付け根にあるくぼみ。
頭からながれてくるドレープの波のやわらかさ。
それを止める子供の手と共に目を釘付けにする。
小さな作品なだけにその繊細さがより伝わってくる。
***
この像の置かれた部屋には他にもたくさんの秀逸な象牙の彫像があり、いつも「ゆっくり見たいなぁ」と後ろ髪を引かれる思いで離れていく。いつかひとりでゆぅっくりとこれらを舐めるように観察していきたい。
そうしてひとつでも自分で発見できる美しさに出会えればよい。
有名な作品をいくつも見るよりも、ひとつだけ自分にとって価値のある視点を得られれば、そこは「美術品の墓場」ではなく本当に価値ある美術館となるだろう。