昨夜に続き素晴らしい天気。
午前中MSM(モン・サン・ミッシェル)観光。
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「あとでこの扉の向こうを見せてあげますよ」
通常の観光が終わると彼女はわざわざ重い鍵の束(写真で右手にお持ちのもの)を持ってきて、本当に無償で私を案内してくれた。
今日MSMをガイドしてくれたイサベルさんはいつもとちょっと違う。昨年、より高度なガイドの試験にパスして、MSMの深い隠された部分を案内する資格を持っている。
通常コースを皆さんと一緒に回っているときから、今まで感じていたいろいろな質問をぶつけてみる。すると、今まで誰もしなかったような回答をスバズバ返してもらえてスッキリ快感。
ガイドブックの知識を現場で繰り返しているだけの観光では、いったい何のために現地に来て詳しいガイドさんにお金を払っているのか分からない。ガイドしてくれる人の知識や技量を見抜いて、最大限その存在意義を発揮させてあげるのが我々の腕の見せ所。
歴史が積もった迷宮のような場所をめぐるのは私も大好きなので、ローカルガイドさんの知識をしっかり披露してもらえるように話を誘導するわけだ。
「お互いかなり楽しくガイドできましたねぇ」と、一時間半(これでもかなりしっかりやりました)の通常の案内が終わった後、本当に鍵束を持ってきてくれたのであった。
毎日何千人という観光客が訪れる場所だけれど、ガイドブックに書かれている事だって「だろうと想定される」というぐらいで、実は分からない事だらけというのが本当のところ。
そして私は、これまでまったく知らない場所がMSMにはまだまだあることを思い知ったのである。
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8世紀、聖オーヴェールが住み始めた聖ミカエルの岩山はごつごつとしてなんの建物もなかった。頂上から少し下がった場所に彼は洞窟を穿ち住み始めたと考えられている。
その場所は現在の建物の底深くに埋もれ閉ざされているはずで、まだはっきりと確定されていない。
かつて色とりどりのフレスコ画でいっぱいだっただろう聖堂。
苦労して復元したものが観光客の目に触れないところに展示してある。
この写真ではちょっと分かりにくいけれど、イタリアのモンテ・ガルガーノに天使ミカエルが舞い降りているシーンである。