今日から十日間「ウィーン、ザルツブルグと『プラハの春音楽祭』オープニング・コンサート」の旅へ出発。
成田→アムステルダム→プラハと移動。
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「メキシコからの乗客がおられますので少々お待ちください」
アムステルダムからプラハに飛行機が到着した直後、すでに通路に立っていた全員が席にもどる。
出入り口近くに座っていた私の前を、赤い全身防備の服を着た検疫官がさっと通り過ぎ、ひとりの乗客のところへ迷いなく歩いていった。そうか、あの席の人がメキシコから来ていたのだ。
まわりの誰もそんなことは知らされていなかった。
赤い服を見て機内に緊張が…あれ?皆まったく平気な顔。
携帯ひろげてメールをうちはじめる者、にやにや笑いながら「まったくねぇ」と手を広げる者。
ものの五分で検査は終わり、赤い服の検疫官もさっと出て行った。
そしてこの後、十日間のツアー行程中いちどもマスクをつけた欧米人を目にする事はなかったのであります。
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出発前、日本では「豚インフルエンザ」が連日トップニュース。日常にマスクをする習慣のないヨーロッパでも、今回はきっと多くの人がマスクをしているだろうと思っていた。が、予想は完全に裏切られた。
日本人と欧州人。
政府・個人個人、ともに同じインフルエンザへの対応がこれほど違うものか、と改めて感じる。
付和雷同する日本人と、すべてのことに自分自身で判断を下すことを習慣付けられている欧州人である。