ローマ。
フォロ・ロマーノから「真実の口」で有名なサンタ・マリア・イン・コスメディン教会まで行く途中にある古い教会が気になっていた。看板をみるとサン・ジョルジョ・イン・ヴェラブロとなっている。かなり詳しいガイドブックをひらいてもその仔細はほとんど載っていなかった。
今回しばらくぶりに前を通ったので、やっと調べを進めてみた。
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教会についての最も古い記述はサン・カリストのカタコンベからのもので5世紀に遡る。テベレ川に近いこの地域にはビザンツ帝国からのギリシャ人のコミュニティがあり、最初の教会は東方教会の修道士がたてたと思われる。
テベレ川はたびたび氾濫したので地域は沼のようになる事があり、ラテン語の「沼」という言葉からヴェラブロと名前がつけれた。
西暦741〜752まで在位した法皇ザカリアスはギリシャ出身で、この教会に新たな聖人の遺物を持ってこさせた。当時はまだまだビザンチンの領土だったカッパドキアから聖ジョルジョの遺骨を分骨させたのである。
※カッパドキアのギョレメ野外博物館ではこのサン・ジョルジョの遺骨を置いてあったと思われる教会を見学した。さらに、ここでジョルジョの故郷であり彼の名前が国名になっているグルジアから多くの人がお参りにきてた。
これにより教会は現在の名前となった。
この時建てなおされたカタチが現在の教会になっており、入り口から内部へ向かうにつれて狭くなっていく列柱が特徴的である。
また、この柱頭部分も古代の柱を再利用したものとなる。
この写真からも、内部に向かうにつれて列柱の幅が狭くなり、柱の高さも低くなっているのが分かるだろうか。遠近法を巧みに利用して、実際よりも奥行きを深く感じさせる為のプランであろう。