15世紀後半の画家カルパッチョの代表作が上部の壁を飾る。
夕方のヴェネチ大運河アクルーズの前に2時間ほど余裕ができたので行ってきた。サン・マルコ広場から徒歩で十分ぐらいの場所にあるスクオラ(ヴェネチア特有の互助会組織の様なもの)の集会場の建物である。
同じスクオラの建物でもティントレットの絵画で埋めつくされたサン・ロッコとは違い小ぢんまりしていて三十分ほどの時間でじっくり味わう事の出来る広さである。
一階、天井下三方の壁にめぐらされたカルパッチョの絵が見もの。古さのせいなのか、照明のせいなのかわからないが全体にセピア色がかった印象は、画集で見ていた時と同じだった。未だレオナルド・ダ・ビンチ的スフマート=ぼかし、が導入される前の、律儀に輪郭線を描いた背景風景が好み。
細部を細かく読み取りながら鑑賞するべき絵なのだろう。
http://www.scholarsresource.com/browse/work/2144581314**
料理の「カルパッチョ」はこの画家の名前が元になってつけられたというのは、どの本でも一致しているが、理由には二通りの説が書かれている。
ひとつの説は画家自身が好きな料理だったというもの。
しかし、15世紀に生牛肉のスライスにパルメザンチーズをかけたものが好物の画家が居たとはとても思えない。
もうひとつの説は十九世紀。
医者からダイエットを命じられたお得意様の為にレストランが肉を薄くスライスしてチーズをかけた料理を考案したというもの。
「この料理はなんというのか?」と質問され、料理人が好きだった画家カルパッチョの絵画の色調⇒「赤と白」の印象がある料理だったので「カルパッチョです」と答えたというのである。