ラオスの首都ヴィエンチャンへ日本の民間航空機がダイレクトで乗り入れることはかつてなかった。今回外交筋の協力があり、「こま通信」も加盟する全国旅行業協会の旅行部門の主催によって実現するときいて、「これは是非行きたい」と思ったのであった。
こういう記念フライトというのは、乗りたくてもそう簡単には乗れない。ラオスという観光の世界ではどちらかというと「地味」な国へもこのチャンスを逃したら行かないかもしれない。
あるいは、思ってもみなかった発見をして、何度も訪れるきっかけになるかもしれない。大げさなようだが、一生にそう何度もない「ラオスへ行く」チャンスがめぐってきているように感じた。
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朝10時に成田空港を飛び立ち、現地時間の15時前にはヴィエンチャンへ到着した。時差は二時間。たった6時間ほどのフライトだ。バンコクで乗り継ぐ普通のルートなら待ち時間も入れて+5時間はかかる。直行便はほんとうにありがたい。
機体が高度を下げていく窓に、茶色いメコン川が蛇行して流れているのが見えてくる。のどかな森にぽつぽつ小さな村が見えているが、一国の首都にしてはとてもゆったりした雰囲気だ。
飛行機を出ると、むわっと暑い空気が全身に触れた。気温は三十度。これでもいちばん過ごしやすい乾季なのである。
タラップの下には、首に掛けるレイを用意した女性達が花道をつくってくれているのが見える。その横にはこの写真の大弾幕がひろげられ、報道カメラマンがフラッシュを光らせている。
2009年は、メコン川流域の国々と日本の国際交流年とされていて、これはそのイベントのひとつなのである。日本側の主席は衆議院議員当選七回の某大物議員さん。ラオス側も駐日日本大使が行き帰り同行している。※この写真で青い花束を持っているスーツ姿の男性が大使その人。
入国も簡単。
近年、日本人は観光の場合十五日まではビザなし入国できるように変ったのである。入国係官もこういう特別フライトだとよく分かっていて、にこやかに応対してくれる。
我々一行は二百名少し。バス8台に乗り込み、先導のバイクに続いて空港を出る。 メコン川の中洲に建てられたドン・チャン・パレスというこの町唯一の高層ホテルへ向かう。
ヴィエンチャンの空港は町の中にあるので、ホテルまでも十五分程度。車窓からはのんびりとした町並み。贅沢品はいきわたっていなくても、人々はゆったりと暮らしているように見えた。
ホテルへ着いて夜の歓迎記念パーティまで約二時間ほどある。あらかじめ地図しらべておいた寺院へ散歩に行く。「アジアで最も遅れた社会主義国」と聞いていたので、どんな貧困を目の当たりにするのかと思ったが、ぜんぜんそんな悲惨さは感じられない。
確かに物がありあまる我々のような暮らしではない。
しかし、だからといって貧困という言葉から浮かんでくるようなひどさは全く感じられない。1時間半ほど歩いているあいだ、ひとりの子供も「物貰い」にも「物売り」にも寄ってこなかった。
※この散歩の時の話はまた別に書きます。
夕食パーティは市内中心部にあるラオ・プラザホテルにて。
大きなバンケットホールには円卓がたくさん並び、中央の舞台では民族音楽。壁際にはいくつものフードライン、なかには寿司の板前さんなども待機している。
そう、そして待機したまま三十分以上も「御挨拶」が続いたのは、まぁ、こういう式典なら仕方ないのだろう。駐ラオス日本大使のお話もよくきいていればなかなか面白いデータが引用されている。
ラオスを訪れる日本人は、2007年でまだ2万7千人ほどなのだそうだ。お隣のベトナムへの日本人渡航者数がほぼ40万人に近づいているのに比べると、だいぶん少ない数だといえる。
バッフェ(バイキング)の食事はおいしかった。
今回の旅はラオスが国を挙げて我々を歓迎してくれているのだから、きっとこの国でもっともおいしいラオス料理を用意してくれているに違いない。こちらもかなり期待しているこの旅である。