スルタン・カラウーンの息子のひとりアル・ナシールのマドラサである。
美しいファサードは、アル・ナシールの兄が対十字軍戦争で遠征した時に持ち帰った。 もともとはシリアのアッカという町のキリスト教会にあったものを、まるまま移送してきたものなのだそうだ。
そう思ってよく見ると、しっかりゴシック教会のデザインをしている。入り口のアラビア文字だけはここへはめ込まれる時に刻まれたものだろう。
「アッカ」ときいても我々はいまひとつピンとこないが、「アッコン」と言われると、どうだろう。 日本でこの町は「アッコン」とイタリア語風に表記されてる。シリアの海岸に半島のように突き出した旧市街がある町。十字軍が最後に地中海にたたき出されるまで根城にしていた町である。
「アッコン」のいったいどの教会から持ち出されてきたものなのか、ちょっと調べた限りでは全くわからなかった。シリアへ行けばなにか手がかりがあるかもしれない。