カイロの豪商の家「スハイミ邸」が博物館として公開されている。
かつて主に香辛料を扱っていた商人だそうだ。この「スハイミ」という名前を聞いた時、どうもアラブ風ではないと感じた。エジプトの人にきいても、「これはアラブの名前ではない」というお答え。
かつてマレー人のガイドさんでこの名前の人があったが、これはまさかマレー人の商人の家ではあるまい?
そんな風に思いながら見学しはじめたが、いくつもの部屋をまわっていって、このいちばん豪華な「青のサロン」に入った時に合点がいった。
これはイスタンブールの上流階級の好みである。
スルタンの宮殿トプカプにもこんなタイル張りが用いられていた。明らかにアラブ風とは違う好み「そうか、トルコ系の商人だったのか」。
エジプトも長きにわたりオスマントルコの支配下にあった。
同じイスラム教徒とはいえ、立身出世は支配民族に関係がある人々の方にチャンスがある。「スハイミ」という名前がトルコ起源なのかは実はまだ納得していないけれど、少なくともこの商人がトルコ風の生活をしていた事はよく伝わってくる、青いタイルのサロンである。