来年三月にイタリア中部の小都市をめぐる旅を《手造》しようと考えている。フィレンツェやローマなど大都市もすばらしいけれど、イタリアの本当の魅力はやはり小さな町の旧市街にこそあると思うからだ。
しかし、実際に自分でコースを考え始めると、いつもの事だがルート選定に頭を悩ませてしまう。
ん十回訪れているイタリアだけれど、一般的なツアーで訪れる町というのはどうしても限られているので、近くは何度通っていても、行っていない町ばかりなのだ。
※有名な町をたくさん入れれば売れるツアーは出来る。無理して走りまわるだけの旅が「ベストセラー!」として宣伝されているのをよくみかけるが、そんな旅はつくりたくない。
●一日にバスで走る時間は三時間程度まで
●ホテルは旧市街に歩ける場所
●しっかりした説明のできるガイドさんをたのむ
こういうコンセプトを毎日の行程で実現していこうと考えると、今回十日の日程で訪れようとする場所はこの地図の中に充分納まってしまう。遠くてもローマから三時間もあれば着く範囲だ。
ローマの外港であるチビタヴェッキアには17世紀に伊達藩からの使者支倉常長が上陸した。長崎二十六聖人を記念した壁画が日本人画家によって画かれた教会もある。
ペルージア近くのグッビオの町は十五年に一度だけ歩いたが、有名なアッシジと同じぐらい美しい旧市街が残されていた。
タルクイニアとトスカーニアはその名前からもエトルリア人の町であった。スポレートは中世スポレート公国の首都であった。
ボマルツォには澁澤龍彦が書いていた「怪物庭園」といわれる奇妙な庭がある。
さて、これで、必ずや満足していただけるになる旅になるのか?
最後はもちろん参加する皆さんの興味。これを行くまでに高めていくのも企画者の使命なのだと思う。説明会で地図をお配りするのは、参加する方にも企画する時の私の逡巡や決定の意図を理解してもらいたいからである。