ロワールの古城の中で最も人気があるシュノンソー城にある装飾のひとつ。この城の歴史はおもしろいので、細部のこうした装飾にまで説明を加える時間はない。
しかし、いつも気になっているのがローマ皇帝のポートレートがたくさんあることである。
ローマの歴史というのは、ルネサンス期にはすでに尊敬を受ける対象になっていた。その後の中世の君主達よりも伝説的に神様のように崇拝されていたようである。いろいろな宮殿装飾にこういったローマ皇帝の姿を組み込んであるのはその証である。
この写真はガルバ帝のポートレート。円形に横顔であるのは、多分古代のコインをモデルに作られたものだと思われる。写真も何もない時代、コインに彫られた横顔は最もリアルに古代の皇帝を感じられるものだっただろう。
ガルバはネロ帝の悪政を終わらせた人として知られている。しかし、ローマ史上ではたいして有名な皇帝とはいえない。そんなガルバ帝の姿を刻ませたのは、いったい誰だろう?
当時はローマ史に対する理解が貴族の基礎教養の一部だったにしても、古代ローマ史が好きな人だったように思えるのだ。