午前中モン・サン・ミッシェルを見学し、午後、セーヌ河口の古い港町オンフルールを見学してからルーアンへ到着する一日。
**
オンフルールを歩いていて古い倉庫で行なわれている展覧会に目が留まった。[Chanplain et la Belle Province]
直訳すれば「シャンプレーンと美しき州」とでもなるだろうか。
「美しき州」とは、カナダのフランス語圏ケベック州の古い呼び方である。
サミュエル・ド・シャンプレーンがこの小さな港から新大陸へ何度も出航し、ケベックにはじめて入植したというのは知っていた。
そうか、2008年はあれから四百年にあたる記念すべき年だったのである。しらべてみると1608月7月3日に現在ケベック市のある場所に上陸し、砦を築きはじめたそうである。
ツアー参加の皆さんに町の概略を案内して、少々の自由時間。
ほんの短い時間だったが展覧会場の入り口だけ入ることが出来た。
展覧会は明日が最終日だったから、見ることが出来て幸運だった。
シャンプレーンの胸像が見守っている。
売っていたのはケベックのお土産。
応対していたのは、ケベコワ(ケベック人)。
彼らの話すフランス語に少し耳を傾けてみた。
彼らの話すフランス語は17世紀に入植した時代から、フランス本国とは別個に発展してきた為、古い単語がたくさん残されているのだそうだ。
きのうロワールでご一緒したフランス人ガイドさんとちょうどそんな話をしたところだった。日本で言えば江戸時代の単語や言い回しが日常でたくさん使われているということ。本国フランス人にはとても不思議に聞こえてくるらしい。
しかし・・・私の耳ではケベックフランス語と本国フランス語の確たる違いを聞き取る事はできなかった。いつか、少しぐらいはその違いが分かる程度のフランス語力を身につけたいものである。
ま、ほんとにいつか?
**
オンフルールから出航したシャンプレーンはおよそ(生年は正確にはわかっていない)六十歳で、ケベックに没した。埋葬された教会は数年後に火事になり、再建された新しい教会では、彼の墓が正確にどこにあったかは分からなくなってしまっている。
彼の墓は分からなくなってしまっても、彼の拓いたケベックで、今もフランス系住民達は彼のことを「覚えている」。