昨年までは林の向こうにちらちら見えていた程度の景色が、今年はさえぎることなく眼前に広がった。視界をさえぎっていた木々をばっさりと切ったらしい。
ノイシュバンシュタイン城を見学する途上、夏ならばマリエン橋までミニバスで行き、この道を通って城にアクセスする。今まで何度も歩いてきた道だが視界が変わると全然違って見えた。「あれ、こんなにきれいな景色だったっけ」と思った。
これほどまで思い切って木を伐採するのには、管理する人たちの間でも葛藤があったのではないだろうか。自然保護かすばらしい景色を見せる道か。ここにおいては後者が優先されていくのだろう。なにしろノイシュバンシュタイン城を建てた王は「なによりも大切なのは一番美しい城にすること」とワーグナーにあてた手紙に書いているほどなのだから。
黄色い城はルードヴィッヒ二世が子供の頃から最も長く住んでいた。父親のマクシミリアン二世が中世の古城のあとに造らせた城である。