リューデスハイムの「ドゥロッセルガッセ=つぐみ横丁」を歩いていると、白く濁った液体を入れたコップをならべて売っていた。
以前北ドイツで飲んだ時「シュトルム(嵐)」と教えてもらったものに違いない。
売っていたいかにもワイン農家出のおじさんに「シュトゥルム?」と訊ねたら、ちょっと考えてから頷きながら「フェダー・ヴァイサー(羽の白)」と答えてきた。地方によって呼び方がいろいろあるようだ。
ブドウの絞り汁が発酵していく途中の状態で、ワインというよりジュースのように甘くアルコール度数もそれほど高くない。
この葡萄収穫時期にだけ、葡萄の産地でしか飲めないのがこの濁りワイン。製品として外へ出荷する類のものではない。瓶詰めするには圧力が高まって無理があるし、発酵途中のものだからどんどん変化してゆく。今回何度か飲んだものも場所によって味も色も香りも少しずつちがっていた。 瓶詰め製品とちがい毎回違った味わいで出てくる「にごりワイン」もこの時期ならぜひ楽しみたい。くちあたりがとても良いので飲めない人でもついつい飲んでしまう事請け合いである。