きのうの雨がうその様な気持ちよい朝。
ローマから出発の日だが、午前中にアッピア旧街道を経由してムッソリーニの計画エウルのローマ文明博物館を見学し、空港に向かう。
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紀元前四世紀に造られた、これが古代アッピア街道のオリジナル部分である。ローマから郊外でる途中、こうやって復元してある部分があるのだが、ここは車両の進入が禁止されている。
ローマの、というよりも人類にとって「道」の概念は、アッピア街道の出現により根本的に変化した。
それまでの道は「つくるもの」というよりも「できるもの」であった。人が歩いたところが道になっていったのである。
アッピア街道は目的地に向かってより効率的に移動する公共道路としての道の第一号。道幅、舗装、休憩所、すべてが整然と造られ、誰もが無料で安全に利用できた。皇帝や軍隊の為というだけはない道である。
アッピウス・クラウディウスという人がはじめなければ、誰かがはじめたかもしれない。しかし、どんな大事業でも、かならず一人の人間の決断からスタートする。
実現していく過程で、多数の人のフィルターにかかってはいくだろう。しかし、かならずはじめは一人の決意からはじまる。