夕刻、ローマの空港に着陸したときには雨の後だった。「さっきまで横なぐりの嵐みたいな天気だったんですよ」と、迎えの方が教えてくれた。
テラチーナの町はローマからナポリ方向へ一時間と少し。
到着したのは前回と同じように夜。古代アッピア街道から入ってくるとちょうど左上に中世の城壁、そしてその上200メートルに古代神殿の基礎がライトアップされている。
トラヤヌスの切り通しも変わらず美しい。
ホテルの窓から見える暗い海では、水平線近くにピカピカ稲妻が見えている。明日の天気を心配したが、とにかく就寝。
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翌朝、天気予報をしっかり裏切るさわやかな秋の天候に恵まれ、こうして神殿の丘から眺望を得る事ができた。
北のローマ方向を見る。
海に突き出した山は、イタリア語で言う「チルチェオ山」、日本人にはトロイ戦争の帰路にあったオデッセイウスとその一行を捕らえた魔女「キルケ」の住んだ場所といった方が分かりやすいだろうか。
写真右下にはテラチーナの中世の町を囲むビザンチン時代の塔が見える。
右から左へならぶ並木が古代アッピア街道。
左から右方向へ見える水路は18世紀にこの町を復活させた法王ピオ6世が復活させた。紀元前一世紀のスッラの時代にもあったといわれるこの水路のおかげで湿地帯だった下の町に人が住めるようになっていたのだ。