「うらわ美術館」で行われていた「ぐりとぐらとなかまたち」原画展へ。
子供の頃に読んでもらっていた本というのは宝物だ。なが〜い年月を経て、読み手としてこの絵本に再会するようになって本当にそう思う。
絵本というのは流行に左右されない。良いものはずぅっと読み継がれていく。「ぐりとぐら」の絵本の第一作は1963年に発表されたというから、私が読んでもらっていた頃に新作として発表された絵本だった。それが40年以上たっても、まったく古くなったりしない事がうれしい。
「せかいでいちばんすきなのは、おりょうりすることたべること」というのが特に普遍的なのだろうな(笑)
「ぐりとぐら」シリーズは現在まで四十年間に、たった六作品しか発表されていない。特にいちばんあたらしいものは2002年に本になった「ぐりとぐらとすみれちゃん」である。
前作から13年の後、再び新作が描かれたのには理由があった。
「すみれちゃん」は実在の女の子で、4歳で脳腫瘍の為に亡くなったのだそうだ。扉の絵にはすみれちゃんのうしろすがたが描かれている。
すみれちゃんを登場させるために、たくさんの資料写真が提供されたそうだけれど、そこに後姿はなかったのに。
実際に見えていないものを描けるようになって、どれだけ真剣に対象と向き合っていたかがわかる。