ボグド山国立公園の一番奥、山を背景にひとつだけ御堂が残されているのが見えた。そこまでゆっくりのぼっていく壊れた階段の途中、たくさんの石積み土台が左右にあることに気付いた。
ガイドブックには「19世紀前半には300人を超える僧が仕えていたという」と簡単に書かれているだけ。そんな当たり障りない言葉を読んでも私にはなにも伝わっていなかった。
その言葉が、目の前に土台だけをのこして消されてしまった僧院群という事実として見えてきて、はじめて愕然とした。ツェツェルレグの薄暗い博物館で見た社会主義時代の僧侶虐殺の絵を思い出した。
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/iDiary/index.php?mode=show&date=20080807政教一致の前政権を無力化するために社会主義モンゴルは国中でとんでもない破壊をしていったのだ。
現在あるこの御堂も、入ってみるとやっと最近建てなおされたものであるのがわかる。壁に掛けられた白黒の写真で、かつてこの斜面に何十という僧坊がひしめいていた様子がわかった。
我々がここへ向かうのをゆっくりと追ってきた「博物館」の管理人は、売り物とも見えなかった「お土産」を、あまり売る気もなさそうに見せてくれた。
ここに、あの1741年鋳造「お宝?」コインもあったのだが。
※8月19日の日記参照