「ホーミー」は、一人の人間が二つの音階を同時に出すというものだ。馬頭琴とともに、モンゴルの民族音楽というとこれがでてくる。

「ひとつの口でどうやって二つの音階を出すんだ？」と誰でも思うだろう。が、これが本当に出る。

ひとつの声はとても低くのどの奥をぎりぎりと締めてうなっているような声。想像しにくいが、たとえていうなら、アメ横で呼び込みしているおじさんが声をつぶした後に出している声。
スーパーでバイトしていた遠い昔、私も出した事があるなぁ、と思った声。

この一声の低い声は通低音として、馬頭琴の低い弦とユニゾンか５度であることが多い。

二声めは高く高く、超音波のようにからんでいく。これでメロディをかなでていく。

実際に聞いてみると、「はぁ、そういう手があったか」と思わされる。人間の声の可能性ははかりしれません。