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「日本におけるアール・ブリュット」展、ローザンヌにて
2008-07-18
今回ローザンヌに滞在するちょうどその時、この展覧会が行われている、なんという幸運な偶然!

建物の入り口にはこうかかれていた(この写真)。
「芸術は我々が用意した寝床に身を横たえにきたりはしない。芸術はその名を口にしたとたんに逃げ去ってしまうもので、匿名である事を好む。芸術の最良の瞬間は、その名を忘れた時である。」

「アール・ブリュット」という概念を提唱したジャン・デュビュッフェのこの言葉は、我々が崇め奉る「名作」という権威をそのはじまりから相手にしないと宣言しているかのようだ。

art brut=「生の」art。
絵画などの芸術教育を受けてない人々が自らの為だけに造り出した作品をそう呼ぶ。

「芸術家」というのは、時にとても胡散臭く感じられたりしないだろうか。彼らもまた食べていかねばならず、その為に売れる作品を作り出す必要があり、有名になりたいという俗欲にも無縁ではない。
そんな「芸術家」ならば、作り出される作品は「商品」とどれほどの違いがあるのだろうか。

ほんとうに自分の求める表現だけに忠実になろうとするならば、そこには狂気寸前の集中力が必要になる。だから逆説的に「狂気」にある人々が時に本当の芸術作品を造り出す事が往々にしてあるという事だ。

20世紀初頭から主に精神科の医師たちが発見していったそんな作品たちが展示されているのが、ここローザンヌなのである。

今回の日本展は、日本でもそういう作品を集めている「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」(滋賀県近江八幡市)との協力によって成り立ったものである。

名前など全く知らない「作家」の「作品」ばかりであるが、ひと目見てもらえればその迫力の前に誰もが圧倒されてしまう。



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