カッパドキア地方、デリンクユの地下都市へ向かう途上にとおりかかった小さな村。この風景をみてバスの運転手さんがさっとスピードを落とした。
我々の目から見るとなんて事のないブロック積みの建物だが、よく見ると奥に炎が燃えているのが見える。そう、ここではパンを焼いていたのだった。
アシスタントさんが走っていくのについていくと、となりの大きな建物の中ではたくさんのパン生地がコネられていて、次に焼かれるのを待っている場所である。
たくさんの女性達が日本のもんぺそっくりの服を着て働いている。子供達がそのまわりでお手伝いして?遊んで?いる。女の子はちょっと大きくなるとしっかりお手伝い、男の子はちょっと大きくなると、もうこういった場にはいない。大人になると男女の住み分けがわりにはっきりしているトルコの田舎である。
パンは巨大だ。
黒海地方の保存食パン「エックメック」ほどではないにしろ、トルコのパンはどこでも大きく作ったものを切り分けるのが普通らしい。フランスのバゲットのように細長くはなく、楕円形にまぁるくつくってある。
ほんとうに普通一般のトルコの人が食べる素朴なパンだけれど、この風景の中で焼きたて熱々を食べるのはおいしかった。