今までウィスキーなんてまったく興味がなかった。
しかし、今回スコットランドに4泊もするのだからちょっと理解してみたいと考えていた。
明日スコッチウイスキーの醸造所へ行くという前の晩、滞在していたインヴァネス、その名もハイランドホテルのバーで生まれてはじめて自分の為にウイスキーをオーダーした。
「なるべくピートの香りの強いものをください」
と言うと、バーテンダーがこのボトルを選び出して注いでくれた。「ラファログ」という風に読むらしい。シングル・モルトである。
そのままグラスに鼻を寄せるとまさに煙の様な香りが迫ってきた。ぐいっと飲んでしまうよりも、口にいれて香りを楽しむ方がこの特性にあっているのだろう。もっともこの燻製臭を楽しむ事ができればの話だが。
ピートというのは泥炭の事。原料の麦芽を乾燥させる際にスコットランドのピートの煙を使う事でスコッチ独特の香りが出る。同じウイスキーでも別の産地のものはこの香りはしないのだ。
ネス湖の水を黒くしているピートがスコッチの香りも決めているというわけである。
すべての食物はその土地と強く結びついているのに気づく。