午前中、シェークスピアの故郷ストラトフォードを観光。
午後、コッツウォールズの小さな町巡りを経てロンドン到着。
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現在ウェッジウッド陶器のもっとも有名なものというと、明るい青の地に白い模様が浮き出した「ジャスパー」と呼ばれるデザイン群ではないだろうか。
ジョサイア・ウェッジウッドの「ジャスパー」には先人の開発モデルがあった。それがこの古代のガラス壺である。
そう、ガラスなのである。深い紺のガラスの上に白いガラスをかぶせてかたちをつくり、白い部分を削り取ってギリシャ神話を主題にしたデザインを浮かび上がらせている。考えただけでもたいへん難しい技術を駆使している。
古代には下の部分にもうひとつ絵が描かれた部分があり※これは壊れた底の部分をふさぐかたちでとりつけられた同じくカメオガラスの人物像で、今はそばに置いて展示してある。
こわれてしまった下部がどんな形であったのか、これだけではよく分からない。
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1785年にオークションに出された時からポートランド公爵の所有になっていたので通称「ポートランドの壺」と呼ばれている。
下から透かせて見ると濃い青のガラスが透けて見えるが、よく見ると全体にひびが走っている。これは大英博物館が所蔵するようになってから、どっかの酔っ払いが壊してしまったものだそうだ。その後1989年にも分解され、最新の樹脂で接着しなおされている。
ジョサイア・ウェッジウッドもこの壺を競り落とすオークション参加していたそうな。しかし、ポートランド伯が「貸してやるからこちらに買わせてくれ」とネゴしたそうな。
約束は守られ、この壺は一年間ウェッジウッドが自宅に借り受け、新作「ジャスパー」を考え出した。比類なきこの古代の逸品と日々対面し続けるのはどんな喜びだっただろう。そしてそれをモデルに新たな創造をするというのは、どれほどの重圧だっただろうか。
もちろん大量生産品とこんな手造り逸品モノを比べられるものではないだろう。手造りというのはいつでも大変なものなのです(笑)。