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気球は飛ぶまでわからない
2008-06-09
カッパドキアを見学する最も効果的な方法のひとつが気球ライドだと思う。しかし、これは多分にお天気に左右され、乗ってみるまで、いや、飛んでしまうまでどうなるか分からない。

**

前回、5月24日の時、朝4時半過ぎに気球に乗る用意をしてホテルで待っていた。しかし30分ほどの後「今日はキャンセル」の電話がかてきた。がっかりして部屋にもどり再びうとうとしていたが、6時過ぎに再び電話が鳴った。

「飛ぶ事になって迎えの車が着てます、すぐに来てください」

えええ!そんなに急に言われてもぉっ!と言いながらも急いで着替えて迎えの車に乗る。空は一時間半前とはだいぶ違って太陽が穏やかに射している。これなら飛べるんだろう。

15分ほど走ってついた広場ではすでに巨大なバルーンが膨らんでいた。バスケットには十人ほどの欧米人が乗っているのが見える。バーナーも時折火を噴出させて、今しも飛び上がらんという様子だ。

となりにはあと二つ。巨大なバルーンが横たわって熱風が入れられるのを待っている。このうちどちらかに我々が乗る事になるのだろう、わくわく。

他にも二十人ほど、各国からのお客が同様にフライトを待っている。「そこにあるクッキーとお茶どうぞ、あと二分!」気球のスタッフが言う。

ビデオを撮っている人も「あと二分で登場でーす」と録音。ちょっとしたビルほどの大きさにもなっている気球を撮影しながら、今や遅しと搭乗の指示を待つ。

しかし…なかなかお呼びがかからない。
さっき飛ぶ寸前になっていた欧米人のバスケットもまだ地面にある。そればかりか、彼らのバルーンは少しずつしぼみ始めている。
「あれ?あの気球、ひょっとして到着したところだったの?」いや、そんな筈はない。

突然「パイロットが『風が強くなったからキャンセル』と言っている」とスタッフが申し訳なさそうにやってきた。

「えええ!!こんなに天気が良いのにキャンセル?!」
私が詰め寄ると「そうだ。見てみろ、風がふいてきただろ?」とパイロット本人に決然と言われた。
飛ぶ寸前だった欧米人たちもバルーンから降りはじめた。

こんな事がちょうど二週間前にあった。
安全上の判断となれば、これは止むを得ない。
すばらしいお天気だったが、確かに他に一機の気球も空には浮かんでいない朝だった。気球には風が強かったのだ。

***

さて今回のツアー、きのう6月8日の朝。
朝4時40分、同じようにスタンバイをして迎えの車を待っていた。

しかしなかなか迎えの車が来ない。薄暗かった空は日が昇り始め、遠くの空に気球が一機うかびはじめた。

「おお!今日は飛べる!」
と嬉しくなって、待っているのも苦にならない。
一時間ほど待たされたが迎えの車に乗る時には、すでに気球で飛んでいるような気分だった。

グランドに着くと、すでに空にはたくさんの気球が浮かんでいた。カッパドキアには今いくつの気球会社があるのだろうか。ざっと数えただけでも二十近い数の気球が飛んでいる。

我々の乗る予定の気球もフィールドに用意されている。
他にも三機が横たわっており、同様に乗る予定の人も待っている。
「お〜い、バスケットをおろすのを手伝ってくれサムライ」と声がかかる。
※スタッフは簡単な英語しか話せない

二十人も乗れる重たいバスケットをおろす手伝いも、これから自分が乗るのだと思えば苦にならない。

さて、そろそろ!
と、思ったところで「パイロットが二度目は飛べないと言っている」と、またもスタッフが申し訳なさそうに近づいてきた。

いったい何の事か最初はわからなかった。
他にもバルーンは飛んでいて、我々の乗る予定のバルーンもこうして用意されているというのに、なにが問題なのか?

「一回目のフライトで遠くに飛びすぎてしまい、あなた達を乗せる予定のパイロットがここまですぐに戻ってこられないのでキャンセルなのです。SORRY。」

これにはさすがに当惑、失望、怒り。
今日は天候が悪いわけではない、他の気球はみんな飛んでいる。我々の乗る気球だけがキャンセルなんて、とんでもないバカにした話じゃないか!
「日本人はおとなしいからなめられてんじゃないのか?!」という気持ちにもなる。

現場のスタッフに怒りをこめて講義をするが、それでその場で乗れるようになるわけではない。それぞれの気球が二回ずつするフライトが、今朝はすべて満席状態なのだ。

「明日は最上の優先権をもらえるようでないと納得しかねる!」
そう言いおいてホテルへ戻るバスに乗るしかなかった。

ハラの中はぐつぐつ煮えていた。納得しかねる気持ちのまま、相変わらず空に浮かんでいる気球を恨めしそうに見ながら朝食を食べる。

8時半、午前の観光に出発してからも、気球会社に全員で直談判を考えていた。日本的に「どうしてくれるんだ!」と怒鳴ったりしてもダメだろう。冷静に、しかし、決然と話しをしなきゃ…と考えていた。

10時半ごろ、「そろそろ談判に行くのに良い時間か」と考えていたところに、気球会社から電話が入った。「今日はまことに申し訳なかった。明日、いちばんいいパイロットで最優先に飛んでもらえるようにする。」との事。やれやれ、先方もそのぐらいの意識はあったのだ。

優先権は確保した。
あとは…そう、あとは天候である。

*****
そして、今朝、4時40分。
ちょうどに迎えのバスはやってきて…ついに飛んだ!

今年、三度目の正直。
この絶景をご覧ください。



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