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機内映画「エリザベス〜ゴールデン・エイジ」
2008-05-13
KLMも新しい機材にはオン・デマンドで好きな時に映画が見られるシステムが導入されている。帰路には見たいと思っていた表題の映画を見ることが出来た。

こういう歴史を題材にした映画を見るときには、注意深く設定の検証をするのが習慣になっている。まず、登場人物の設定年齢は把握しておきたくなる。

舞台は1587-8年、すでに即位後30年近くを経た54歳。1587年の2月二処刑された亡命スコットランド女王メアリーは45歳。エリザベスが密かに心を寄せる事になるサー・ウォルター・ローリーは35歳。

ローリー卿が女王の寵愛をうけながらも、女王付き女官だったベス(同じエリザベスという名前)と結婚しているのは事実。この若いエリザベスは当時24歳だったと想定されている。当時の女性としては晩婚になろうか。

ほぼ十歳ずつの年齢差のある4人に加えて、女王のアドバイザー役となるサー・フランシス・ウォルシンガム卿。歴史的事実では女王より一才だけ年長なだけなのだが、だいぶん老獪な雰囲気で登場していた。

なぜ、こういった細部にこだわるのか。
それは、ともすればこういった歴史映画によって我々現代人の歴史観が決定されていくからである。映画というのは歴史を正面からとりあげた本に比べると普及度が格段に高い。ナチスドイツが政治的宣伝の為に娯楽映画を作らせたのはその事をよく分かっている。

ただ楽しむためには良いが、我々旅をナビゲートする者としては、楽しんだ後に「そして事実はどうだったのか?」という視点を持っていたいものだ。少し突っ込んで調べていく事によって、自分なりの史観を持っておく事が後々大変役に立つ。

この映画の登場人物を調べていて面白かったのは、ヴァージニアの命名者ローリー卿について。

女王の死後にロンドン塔に幽閉され、開放された後、息子を連れて再び新大陸へ向かった。ローリーはすでに62歳である。探検の途中スペインの入植地を襲い、息子はそこで死亡。帰国した後スペインからの告発を受け、ロンドンで斬首刑となっている。

以下、ネット辞典からの引用
「ローリーの最後の言葉は、斬首を行う斧を見せられた時の、『これは劇薬であるが、すべての病を癒すものである』というものであった。」

映画の中においても、いかにもこういう言葉を遺しそうに描かれていた。

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