午前中、ブルージュの徒歩観光。
昼食レストランに着いたのが予定より少々早かったので、目の前にそびえる救世主教会に入ってみる事にした。
ブルージュに残る最も古い教会で、カテドラル=司教座教会になっているとの事。(近くのノートルダムのように)ミケランジェロの彫刻があったりはしないので、日本のグループは全く訪れないが、きっと面白いものがあるに違いない。
がらんとした堂内、目を惹いたのは内陣に張られた大きなゴブラン織りのタピスリー。★あらかじめ調べていなかったのでその場ではそれがどういうものなのか分からなかったが、実はより古い時代のカテドラルであったサン・ドミナティウス教会の為に製作されたものだった。※ドミナティウス教会については下記にも書きました。
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/iDiary/index.php?mode=show&date=20080428フランス革命の余波でこの教会は破壊され、新しくカテドラルに指定された救世主教会に移されたわけだ。
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次に目に留まったのが、町の解説書も教会のサイトも、ひと言も触れていないこの壁である。
壁の奥にもっと古い壁が見えている。
新しい時代の壁には、もともとここにあった祭壇の後がくっきり残っている。この教会がカテドラルに指定されたのは1834年。この時、よりカテドラルらしく見えるように大規模な建物の改修が行われている。
その時まであっただろう中世の名残の古臭いフレスコ画などは、きっと壊されたり壁に埋め込まれたりした筈だ。あるいはそれ以前にすでに隠されていた可能性もある。いずれにしても、現在見られる塔や内装は19世紀の大幅改修の結果であり、古臭いフレスコの前には新しい祭壇が設置されていたのだろう。
このフレスコが見られるオリジナルの塔の基部は、10世紀に遡るこの教会で最も古い部分。だからこそこんな推理も成立つのだが、ほんとうに何が真実なのかは、分からない。
どういう経緯か分からないが、多分最近になって中世のフレスコが背後に隠されていることが判明。修復している最中なのである。写真からも汚れを取り除く為の四角い和紙が貼り付けてあるのが分かる。
現在中世のオリジナルはとても価値を持つ時代になった。修復が完成し研究が進めば公式に公開されていくことになるのだろう。それが1年先なのか、5年先なのか、10年先なのか、待つしかない。