機内で見た話題の映画「アメリカン・ギャング・STER 」にの題名のニュアンスについてはすでに書いた。
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/iDiary/index.php?mode=show&date=20080319いつものように一回目吹き替え、二回目原語で見る事ができるのは、機内映画ならではの楽しみ。英語で見ていた時、「あ、こんなふうに言っていたのか」と、吹き替えでは分からないだろう表現にであった。
「You wanna be a superfly?」
直訳すれば「スーパーフライになりたいのか?」
麻薬事業が成功して金が入るにつれ生活が派手になり、パーティーで目立つな服を着て現れた甥。これに対して、激怒した主人公がきつくたしなめる時にこう言ったのである。
しかし、なぜ「スーパーフライになりたいか?」という言葉がたしなめる言葉として成立するのか?それは、大元の「スーパーフライ」が何かを知らないと分からない。
「スーパーフライ」ときいてピンっとくる人は、ブラック・ミュージックのファンだろう。1972年に公開された黒人出資・黒人製作・黒人出演の映画である。同名の映画サウンドトラックはカーティス・メイフィールドが担当している。
音楽は30年以上たった今でも充分に現役だ。しかし、映画の内容は今ではそれほど語られる事もなくなっている。ストーリーがすぐに思い出せる人はそう多くない。
「スーパーフライ」もまた、麻薬密輸・販売をする黒人の話なのだ。、「アメリカン・ギャング・スター」の時代背景がまさにこの1970年半ばである。映画の中、パーティーのシーンで流れている曲もまさにカーティスのテイストになっている。
たぶん70年代当時のNY黒人社会では誰もが見ている映画だった「スーパーフライ」。この映画の中で、かつての密売人顔役は殺されてしまう。主人公の「スーパーフライ」達の運命もまた同じだと暗示している。
これを知っていればこそ、「スーパーフライになりたいのか?」という言葉が、派手になった甥をたしなめる言葉になっている事が分かる。
もちろん日本語の字幕では「スーパーフライになりたいか」とはなっていなかった。これでは何の事だかわからない日本語訳となる。字面を翻訳してもそれで「通じる」わけではない。
この「スーパーフライ」については、たまたまピンっときたけれど、外国映画に使われている生の言語など、私には一生分かるようになれないだろう。
ならばせめて、日本映画の言葉の意味ぐらいはちゃんと理解できる日本人でありたい。