モニュメント・ヴァレーの朝日を見に行った。
まだ薄暗いうちにビジター・センターに着いたグループは、我々のほかにもうひとつ「日の出が大好きな日本人」のグループがあった。ラスベガスからの一泊二日ツアーだとか。太陽が昇りきるのを見届けると、彼らはすぐにラスベガスに向けて出発してしまった。
我々はこれからヴァレーの奥まで見学しに行く。
ビジターの車ではいける場所も制限されてしまうので、ここではナバホ族のガイドを車つきで雇う事にしている。
やってきたのがこの写真のウィリーさん。
太陽の目、風の耳、ビッグ・ホーガン、一般車両では入れない場所をいくつも案内してくれた。
昨年の《手造》の日記を読んで今年参加してくださった方が、「是非、スージーさんに会いたい」と言われ、もちろん訪問する事にした。スージーさんとは、百歳になろうかというナバホ族の女性である。
幸いまだまだお元気で、昨年と同じように動物の毛で糸をつむぐのを実演してくれた。相変わらずとてもしっかりした大きな手をしていた。
※これらの場所については「世界の写真」⇒アメリカ⇒グランド・サークルで見ていていただけます。
ウィリーさんがいちばん楽しそうだったのは、ビッグ・ホーガンで笛を吹いてくれた時だった。民族楽器演奏というのは(ものにもよるが)CDで聞いているとあまりに素朴な音で、観光音楽以上の価値を感じないことが多い。CDでは届かないものがたくさん含まれているということなのだろう。
しかし、今日の笛はCDで聞くものとは全く違うものだった。
明るい朝の光が砂色の大きな岩肌と草の緑を鮮やかに見せている。高い岩のドームの下でウィリーさんが吹き始めた笛の音が静かに長く草原に流れて行き、ゆっくりと我々の心に染みてきた。