ひと目でシャルトル大聖堂の入り口を飾っている彫刻を思い出した。ほんとうに、そっくりだ。何度行ってもルーブル美術館は百科事典にして巨大な宝箱である。
今日はヴァン・ダイクの特別展示を見よう思って入ったのだが、途中にあったフランス中世彫刻につかまってしまい、とうとう閉館までそこで足止めされてしまった。
いろいろな彫刻が小松の足を止めてくれたが、もっとも印象に残ったのはこの高さ2メートルを超えるシバの女王(?)石像である。
シンプルでうつくしいフォルム。縦に長くデフォルメされ、仏像を思わせるひだの流れ。ベルニーニなどのバロック彫刻とは真逆に位置するけれど、ひきつけられる美しさである。
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備え付けの解説書によると、この立像はかつてエソンヌ県のコルベイユという町のノートルダム教会のポルタイユ(入り口)にとりつけられていたものだそうだ。もちろんシャルトル大聖堂のポルタイユの像に影響を受けているとあった。
そして、18世紀までは6体の像があったことが知られているが、フランス革命時に破壊されてしまった。現在は二体だけがルーブルに収容され生き残ったというわけである。
フランス革命というのは知れば知るほど凶暴な破壊の時代だったように見えてくる。シャルトル大聖堂の石造やステンドグラスが現代にまで伝えられているのは、なんと幸運なことだったのだろうか、
※顔や手の部分は19世紀の修復時にオリジナルと違うテイストが加えられているとある。