きのう13日の話
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夜明け前、4時半頃に目を覚ます。窓の外をみると星が出ている。つまり、オーロラも見える可能性があるのだ。がんばって防寒フル装備着込んでドアを開ける。
オーロラの光はとても弱いものがほとんどで、ほんの少し街灯の光があるだけでもう見えなくなってしまう程。だから「ホテルの周辺でオーロラ観測が出来ます」とパンフレットにうたわれている今回のような宿泊場所でも、ちゃんとオーロラをみたければ、もっと暗い場所を目指すしかない。
もっと暗い場所。
ルオストには町の北側に小さな湖があり、冬季はそれが完全氷結している。その湖面に立つのがもっともオーロラ観測に適した場所といえるだろう。
湖への道は知っていたが、こんな時間にひとりで暗闇を目指して歩くのは恐い。さらに真っ暗な林の中へ足を踏み入れるのはもっと恐い。暗闇に対する恐怖心というのは人間が本能的に持っているのだろう。
この林を抜けると湖に出るのだが、林へ入る手前で躊躇し立ち止まっていた。すると、林の中を動くものがある?
暗闇に目を凝らすと、まっ白なウサギが雪をけってたくさん跳ねてた。
巨大な自然の中でも「ひとりきり」じゃないんだ。
ちいさい臆病なウサギでも、同じ生き物が近くにいてくれるのがわかって、力づけられる気がした。
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この写真は美しく晴れたその日の午後。
再び湖面に立ってみるとウサギ達のあしあとがたくさん残されていた。