朝はゆっくり11時半にホテル出発。
近くにあるショッピング・アーケードへ行かれる方もあったが、雪がすごく降っていてほんの三百メートルほど先の店へ行くにも遭難しそうな勢いである。大げさ。
11時半にホテルを出発したのは、三時間の観光のあとすぐに沿岸急行船にチェックインできるように逆算したのである。お昼ごはんの時間にかかるが、それでもこの方が快適だと判断して変更してもらった。
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トロムソの町はいろいろな見所がある。
なかでも今回のスペシャルは世界最北のビール工場として有名なMACビールの見学。シロクマしるしのラベルで有名で、日本でも一部で販売されているらしい。
見学開始のビヤホールにはこおんなシロクマの剥製が、がぁ〜っと口をあけている。ホンモノを間近で見たことがないから分からなかったが、かなりの大きさ。するどい爪で一発喰らったらニンゲンなんてすぐやられてしまうな。
白いビニールの服と髪の毛を覆うキャップをかぶって見学開始。ここは1877年に醸造が開始された所なのだそうだ。最北の地であってもビールはけっこう作られる。ワインとはだいぶん違う。タフな飲物なんだと思う。
かなり大規模な工場施設にはコカコーラのボトリング工場もあり、北ノルウェーへのコカ・コーラはここから出荷されるのだそうだ。
プラスティックのペットボトルも洗浄して再利用している。ただのビール工場とは違い、地域への飲物を一括して扱っているという雰囲気であった。
道路の向こう側には現在のメイン工場があるが、そこまでは足を踏み入れず、最初のビアホールへ戻ると、お約束の試飲である。いろんな種類のビールの中から一種類選ぶ事ができる。
オリンピックの時に金賞をもらったオールという種類や、度数6・5とちょっと強めの季節ものクリスマス・ビールもあった。
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北極圏博物館は、ノルウェーの北の島であるスパーヴァル諸島の生活や自然の展示と共に、極点への探検で有名になったアムンゼンの展示が面白い。アムンゼンは国民的な英雄なのである。
スコット率いるイギリス隊との南極点到達レースは個人的にも興味がありいろいろ調べていたから、ここの展示もたいへん面白かった。
オスロにはアムンゼンが使っていたフロム号を展示した博物館があるが、そこと比較すると、アムンゼンの生い立ちについての展示があるのが面白かった。およそ小学二年ぐらいと思われるアムンゼンのポートレートには、早くも後年のしかめっ面を想像させる表情で写っていた。人の性格の基礎はかなり早い時期に形成されるらしい。
△の屋根が印象的なトロムスダール教会を外から見学し、14時半に港へ到着。船は15分ほど遅れて入港してきたが、15時には部屋に入ることが出来た。
その後18時半までトロムソ市内で自由行動。
これといって特産品があるわけでもないし、物価はとおっても高いので皆さんそんなに買い物するわけでもないのだけれど、自分の足で歩く時間があるほうが町が自分のものになってくれる。