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アンカー展へ
2008-01-18
○19世紀スイスの画家、アルベール・アンカーの展覧会へ。

彼は1831年スイスのドイツ語圏とフランス語圏の境界線にあるイン村に生まれた。先日パリのグラン・パレで展覧会をやっていたギュスターブ・クールベより十二歳年下である。
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/iDiary/index.php?mode=show&date=20071219

しかし、その作風はクールベとは全く違い、おだやかで見ていてとても気持ちの良い作品ばかりである。彼の暮らした農村の子供達が、とにかくかわいく、気持ちよく、太陽や暖炉の光りに照らされてしずかに「暮らして」いる。

クールベが描こうとしたリアリズムとは全く違うが、アンカーの描く世界もまた、ほんとうにリアリズムだ。印象派が描くような光りではなく、一時代以上前のフランドルの画家フェルメールの描くような光りと静かな世界に近い。たとえば、パンの入った籠は、籐のいっぽんいっぽんを丹念に描き込み、間近にみてもちゃんと「パン籠」の形をしている。

アンカーは39歳でベルン州の議員にもなったほど、社会的地位を得た。作品を買いたい顧客はきっとたくさんいたことだろう。家のリビングの壁にかけるなら、ほとんどの人はクールベよりもアンカーを選ぶのではないだろうか。特に日本人は。

そして百年が経ち、クールベとアンカーと、どちらが絵画史に重要な画家と言われるかは明らかである。しかし、同時代人からウケタのはきっとアンカーの方だと思う。



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