京都東山、六道の辻をめぐる。
六道珍皇寺はこの世とあの世の境目にあたるところに創られた寺だといわれる。かつてこのあたりは庶民の墓所であり、実際疫病流行の時勢には屍が転がっているような一帯であったからである。
寺の庭の奥には、冥界への入口であるという井戸がいまでも残されている。それが、この写真左手に写っている四角い石の蓋なのだ。
かつて小野篁(おののたかむら)という九世紀に生きた高級官僚がおり、夜はこの井戸から冥界に赴き、閻魔大王などと並んで死者の詮議をしていたそうである。
ちょうど今は「冬の京都」というキャンペーン中で、地元のシニアガイドさんがたくさん待ち構えていて説明してくれた。いつもはガラス格子越しにしか拝謁できない、閻魔様と小野篁の像もしっかり生で間近に見ることが出来た。