羽田へ行くバスの中よりふりかえる。明け空にビルのスカイラインが並んでいる。
その中にあまり高くないタワーがひとつ埋もれていた。それが東京タワーである事に気づき、おやおやこんなに小さかったのか、と思う。
パリのエッフェル塔とのあまりの違い。
エッフェル塔はどの方向からどんな風に見ても、こんなふうに埋もれてしまう事はない。高さは東京タワーより低くても、存在感は勝負にならない。
東京タワーのこの目立たなさはどうしてなのか? まわりのビルがまったく東京タワーの事など気にしないで建てられていったことがよくわかる。都市の景観を創る事は大きな政治力がなくては出来ない事である。また、政治的な駆け引きとは別に、政権が変わろうと持続する強い意志と、党派や利権を超えて共通認識される美意識が必要である。