フィレンツェからローマへ、午後ローマ観光。
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定番のサン・ピエトロ大聖堂。
入ってすぐ右手にこのミケランジェロのピエタがある。
ルーブル美術館のモナ・リサもそうだが、あまりに有名でいつもひとが群がってカメラを向けている。それ故最近はちゃんと見ていなかった。
しかし、今回人に話しながら、近くへ行き、おもいたってちょっとだけじっくり見てみた。すると、「やっぱりきれいだ」といまさらながら実感。はじめて自分がローマへ来た時に感じた気持ちを思い出していた。
ミケランジェロよりベルニーニ、ロダンよりもカノーバの方が好きな小松だけれど、ここでミケランジェロが出現させたマリアはカノーバが彫ったようですらある。他の作品にあるどろどろしたものがここでは控え目である。
ミケランジェロは生涯に三体ピエタを彫っている。
※4体というのもあるが、それは疑問符がつくそうな。
それぞれがミケランジェロの人生の青年期、中年期、老年期に製作されている。これらを比較して味わうのはおもしろい。明らかに言えるのは晩年になるほどどろどろしていくという事。
サン・ピエトロ大聖堂にあるピエタではまだそういう「どろどろ」が出てきていない。青年期のミケランジェロの作品は、未だ大きな苦悩にぶつかっていない希望にあふれた若々しさが感じられる。
このピエタが一番人気なのは、やっぱりこういった若々しい美しさゆえなのだろう。人は、苦しい時にあまり「苦しい美」をみせつけられても、もっと苦しくなるだけだから?