パリ、マドレーヌ寺院裏手にあるお気に入りのレストランにて。
サーモングリルというのはよくあるけれど、こうして「皮をしっかり食べてください」と言わんばかりに焼いてくれているのが嬉しかった。
鮭は皮の部分が最もおいしいとさえ思う。
家で鮭を焼いて食べる時でも、あとから皮を剥がして表裏をよく焼いて「鮭の皮せんべい」にしてカリカリ食べたりする。
カナダのブリティッシュ・コロンビア州ではBCロールという巻物寿司が有名で、これは海苔の代わりに鮭の皮で巻いてある。鮭の皮がおいしい事で成り立つ味なのは明らかだ。
しかし、西欧料理ではまだまだサーモンの皮を焼いて食べさせてくれる所は少ない。「シェ・セシル」はやはりちょっとオリエンタルなアイデアを持ったレストランなのである。
サーモンの身の方も、半生状態で絶妙に止めてある。
焼ききってしまってパサパサのグリル・サーモンは魚本来のおいしさではない。フランス料理の世界でも、「魚喰い人種」の日本人並みに魚本来のおいしさを考えはじめている証拠だと思った。