建物はいかにも社会主義時代の雰囲気をそのまま感じさせる。
ここは一般の救急病院で、はじめに行った外国人用の病院とは全く雰囲気が違った。救急を受けているところらしく簡易ベッドで寝かされている人が目につく。なんだかタイムスリップした感じがする。
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ブダペストの大聖堂見学中に、後方で大きな音がして人が倒れた。はっと気づくとうちのグループメンバーである!教会の椅子につまずいて倒れ、腕を強く打って痛くて立ち上がれない。
近くのお店でひと休みしたけれど、これは病院へ行く必要がありそうだ。ブダペストの手配支店から外国人が行くFirst Med.Careという医療機関を予約してもらう。予約時間の11時少しには無事に入ることが出来た。
モダンなデザインのビルの5階に行くと、受付は流暢に英語で迎えてくれた。こぎれいな待合室には、他にも外国人と思われる人が何人か待っている。
ほどなく担当の医師が来てレントゲン撮影をする。ひじが脱臼しているとの事。治療の為に近くの総合病院へ行くように指示される。
日本と違い何があっても最初はかかりつけの医者に診てもらい、それからしかるべき病院へ紹介されるというのがこちらのスタイルなのである。
タクシーで十分ほど行くとヤーノシュ病院はとても広い敷地であった。たくさんある入口から目的のビルにスムーズに連れて行ってもらえたのは、いつもここへ来ているタクシーだからだろう。
そして、中へ入ると・・・こんな感じの場所にタイムスリップしたというわけである。
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担当のゾルタン先生は目ざとく我々を見つけると、わざわざ声をかけてきてくれた。連絡がちゃんと入っていたようで優先的に診てもらえたようだ。
触診をしてみると、先ほどよりも痛みはましになっている様子。
再びレントゲンを撮影してみると、外科的治療はもう特に必要ないという結論だった。人間には自然治癒力があるのですな。
しかし、ギプスだけはして固定する事になり、昔ながらの石膏で腕の半分だけを固定し、三角巾で首から吊るした。
ともかくも明日日本へ帰るフライトには問題なく乗れる。これが何より幸いだった事である。ほっ。