チーズ好きさんにとってフランスという国は底なし沼の様な場所なのかもしれない。どの地方、どんな小さな町へいっても、これでもかという種類のチーズが待ち受けている。
その地方、町毎の多様性を表す様にして、多様なチーズが存在する。「これだけの多様なチーズを生産する国の国民を治めるのは容易な事ではない」と言ったのは、ド・ゴール大統領だったろうか。
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この「カタル」というチーズ、表面の十字架がトレードマークだそうである。名前と共にこのチーズを見せられて、小松がすぐに思い出したのが「カタリ派」であった。
キリスト教の異端と言われる一派である。
中世フランスではラングドック地方を中心にある程度の勢力を持ったが、ローマ、カソリックと対立したあげくアルビジョア十字軍によって壊滅させられた。
詳しい由来は分からなかったが、この「カタル」は、たしかにラングドックの方のチーズであるということだった。
しかし、何故こんな十字架がついているのだろうか。カタリ派はカソリックが崇拝する十字架を逆に忌むべきものとして使用しなかった一派であったのだけれど。
あるいはその地方の農民が、自分がカタリ派でないことをアピールする為にこのようなスタイルを造り上げたのかもしれない。これは全くの想像ですが。