JAL406便にて成田空港到着。
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マルメゾン荘で、今回特別展示をやっていた。
テーマはナポレオン時代の旅行用化粧セットである。現代のような便利な化粧道具の無い時代でも、もちろん人々は身だしなみに気を配っていた。
マルメゾン荘でいつも展示されていて私も写真に載せた事があるジョセフィーヌの旅行用ポーチ。そういった女性のものと同じぐらいの数と点数の男性用品があったのがおもしろかった。
それなりの立場のある男ならば、当然その姿カタチは注目されている。身奇麗にしておくことはたいへん重要である。それは女性だけの事ではない。
その時代の衣装は現代のように簡単ではない。巻き毛鬘の時代はおわっていたにしても、ヒゲをなでつけ、軍服を着、サーベルを挿し、馬に乗り、現代では考えられないような「装い」である。時間も費用も必要だっただろう。
歴史博物館といった大きな流れを展示している場所では、概して外されてしまうこういった展示品だが、かえって時代の空気をリアルに感じさせてくれる。
このナポレオンの使用したセットは、大量の品々が実にコンパクトにまとめられている。もちろんこういったセットは一点もののオーダー品である。自分が気に入った品を集め、それにあわせて造られたのだろうから、ナポレオンの生活哲学というようなものさえ垣間見える気がする。
ナポレオンの、合理主義、実用主義、明快さ、凝り性・・・などなど、そんなもろもろの事がこの旅行セットに詰まっているように見えてくる。