朝モスクワ到着。
バスで郊外のセルギエフポサードを観光。
さて、その前におもしろい体験ツアーが含まれている。マトリョーシカの色付けである。
バスがたどりついたのはただでさえ田舎町のセルギエフ・ポサードのまたはずれにある木造平屋建てがならぶ工場の敷地であった。社会主義時代そのままだということがひと目でわかる殺風景な建物が、あんまりな印象だが強制収容所のように並んでいる。
立て付けの悪い扉をあけて中に案内されると、うすぐらい壁の一角にレーニンの白黒写真が未だに掲げてあるのが印象的だった。
まずはおが屑が山をなしている部屋で木から掘り出していく過程を見せてくれる。入れ子になっているものを、どうやって造るのかと思ったが、それはすべて「職人のカン」によるものだった。つまり、何の計りもなしにつくっているのだが、出来上がるとぴたりとはまるのである。
次に案内されたのが色付けの工房。
六人ほどの女性が単純な色絵の具をつかって大小ずらりと並べられたマトリョーシカを丹念に塗り続けている。全て手作業。根気の要る作業だ。
さて、隣にの長机に大小二本の筆と色絵の具六種類がすでに用意されていた。各人一人ずつ、10センチほどの高さのマトリョーシカちゃんが自分を塗ってくれる日本人ツーリストを待っている。
ちなみにマトリョーシカというのは単に農村によくある昔風の女の子の名前なのだそうだ。ま、「花子ちゃん人形」というニュアンスなのだろう。これがなぜ入れ子になったのかは分からない。多産や繁栄を祈ってとの説明もあったが、早い話面白からそうしたということなのだろう。
絵の具筆をにぎるのなどほんとうに何十年ぶり?
そんな五十代から七十代までの皆様が真剣な表情で1時間以上もがんばりました。さて、その仕上がりは「世界の写真」にてご覧下さい。