スイスで定番の料理といえばフォンデュー。
ツアーで「名物料理」として組み込まれるのは、その中でも有名なフォンデュ・ブルゴーニュ=いわゆるミート・フォンデューである。
これは牛肉の生サイコロステーキを串に刺し、コトコト煮たった油に入れる。お好みに焼き色がついたところで上げて、タルタルやマスタード、マヨネーズなどいろいろなソースをかけて食べるというものだ。付け合せにピクルスと大量のフライドポテト。
もうひとつ日本人旅行者が興味を示すフォンデュがチーズフォンデュ。パンを串に刺して溶けたチーズをつけて食べるもの。しかし、実際のチーズ鍋には白ワインがたっぷり入れられていて、かなり白ワインの匂いがきつい。そんなにたくさん食べられるものではない。
これらの有名なフォンデュが日本人にあったものなのか、ちょっと疑問である。
私が勧めるのは中華フォンデュ=フォンデュ・シノワ。
薄切り肉をコンソメスープを煮たたせた鍋に入れてしゃぶしゃぶする。そう、しゃぶしゃぶのスイス版というところ。
油でなくコンソメスープ、肉の塊でなく薄切り肉。実際食べ比べた日本人は、たいていこちらの方が気に入る。
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今日もツェルマットでおいしく中華フォンデュしたが、終わってから店の人がテーブルに写真の「ティオ・ペペ」をでんっと置いた。
ポルトガルのいわばシェリー酒。
「これを入れてスープにして飲めば、おいしいわよ」
と店の人。
確かにこれだけ肉のエッセンスを吸ったコンソメスープなのだから、捨ててしまうのはもったいない。日本の鍋なら卵入れておぢやにしてしまうところ(笑)。
さて、はじめはコンソメだけで飲み、次にティオ・ペペを入れてから飲んでみると・・・あまりの味の変わりように驚いた!
「ああ〜どっかの高級レストランで出たコンソメスープはこれが入っていたんだぁ」と思い出す味となった。